カルマを落とすために、川を渡った。とても浅い川だ。その中を歩いた。当然、地上よりは歩を運ぶのに苦労した。
川の中を歩いていると、背中で、カルマが僕に話しかける。
「live door...」
何と言っているのかは、充分に聞き取れたが、まさかと思い、訊き返した。
「ライブ ドア…」
僕のカルマは確かにそう言い終えると、鍵を廻す音が聞こえた。それは僕のカルマでは無い気がした。
カルマがドアを開けるか閉めるかした音だった。
僕がまだ五歳の頃の四人家庭の団欒の風景だ。それが高速で早送りされ、さっきまで炬燵を囲んでいた僕らはテーブルを囲み、また少し経つと、そのテーブルから僕と妹は消えた。
父の口に運ぶ途中の箸からほうれん草のお浸しが少し、床に落ちた。
僕の背中から川に何かが落ちた。
振り返るとせせらぎの中に、文鎮のような鉄製の何かが沈んで、水を食っていた。