黴が生えている。天井の左上の隅のところだ。ここのところ、視力がぐんと低下していて、この前見たときよりも、更にボヤけて見える。
幸夫はフローリングの床に寝転がって、まだ少し疲れている自分の眼球を意識して、目蓋の上から軽く押した。
何かみたいだな、と思う。あの黴は何かに似ている。でも、そのモヤッとした思い付きはひとつの言葉に結ばれず、そのまま、放ったらかしになったイメージとして、転がっている。
上体を起こした幸夫がまた目を閉じて、背中で、たすき掛けに繋いだ両手を繋ぐと、そこにはやっぱりそのイメージが転がっていた。
宇宙みたいだ、と適当に言葉を持たせて、また、寝転んだ。