ミスタータンブリンマンを今日、聞きました。
ボブディラン。
石鹸で手を洗い、手洗いを出ると顔の恐い悪魔と別の悪魔がハンカチを差し出してくれる。
折角だから、それを享受して
遍くニッポン!
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2014年3月6日木曜日
2014年2月25日火曜日
#5
カルマを落とすために、川を渡った。とても浅い川だ。その中を歩いた。当然、地上よりは歩を運ぶのに苦労した。
川の中を歩いていると、背中で、カルマが僕に話しかける。
「live door...」
何と言っているのかは、充分に聞き取れたが、まさかと思い、訊き返した。
「ライブ ドア…」
僕のカルマは確かにそう言い終えると、鍵を廻す音が聞こえた。それは僕のカルマでは無い気がした。
カルマがドアを開けるか閉めるかした音だった。
僕がまだ五歳の頃の四人家庭の団欒の風景だ。それが高速で早送りされ、さっきまで炬燵を囲んでいた僕らはテーブルを囲み、また少し経つと、そのテーブルから僕と妹は消えた。
父の口に運ぶ途中の箸からほうれん草のお浸しが少し、床に落ちた。
僕の背中から川に何かが落ちた。
振り返るとせせらぎの中に、文鎮のような鉄製の何かが沈んで、水を食っていた。
2014年2月22日土曜日
#4
「何かあるんですか?」
「なにが?」
「穴。さっきから覗いて。何か入ってんすか?」
「何もないと思うよ。水滴の落ちる音だけ、たまーに聞こえるけど。」
「へえ」
「悠太、原画に幾らまで出す?」
「あー、あれすよね、出して四万位じゃないすかね」
「マジ?俺、金貰ってもいらないわ」
「マジすか?」
「俺、結構好きなんすけどね、普通に」
「だって一回映画に出ただけだよ?」
「だって一回映画に出ただけだよ?」
「だって一回映画に出ただけだよ?」
「だって一回映画に出ただけだよ?」
「主役の部屋に貼ってあった直筆サイン入りの原画だよ?」
「誰が見るの?誰がいつ見るの?買って、誰がいつ見るの?」
「Tシャツにプリントしていつも着るんですよ」
#3
虹が掛かっている。
虹の上に秦野くんと晴子さんが座っている。
晴子は弁当を自分の右隣りに広げて、時折聞こえてくるスピーカー越しの念仏のような唱和に耳を傾けていた。どこからか微かに音叉の鳴るような持続音も聞こえてくる。晴子は弁当箱からおにぎりを二つ、慎重に取り出す。弁当箱の幅より、虹の幅の方が狭いのだ。弁当箱は平均台のようなその虹の上で、何とかバランスを保って置かれている。
おにぎりをひとつ、両手で秦野くんに手渡して、二秒で晴子は弁当箱に両手を移し、押さえる。
虹の真ん中が凹んで、窪みが出来てしまった。
食事を終えた二人は、虹の下まで二人で降りて、それぞれの家路についた。
2014年2月21日金曜日
#2
淫獣というあだ名の知人がいた。偏西風という名前の息を彼は吐いた。髪型は自然な七三分けで、クラスの中ではつむじ曲がりと呼ばれていた。
二日後に彼は「イノケンさん」と岡野に呼ばれた。「イノケンさん」のあだ名は瞬く間に浸透した。クラスの男子も女子も全員がことごとく、淫獣のことを「イノケンさん」と読んだ。
淫獣の頭文字の「イ」が派生したあだ名であることは間違いなかった。今までもそうだった。「エノケン」と掛かっている気が、淫獣にはとてもした。
淫獣は目を閉じると、釣り堀にいた。静かで誰もいないところだった。これは過去の記憶だ。多分淫獣が小さな頃の。入り口で先程、ニット帽を被った白髪のおじさんから釣り餌を買った以外、人の息遣いを感じることのない、とても静かな一日。とても静かな場所だ。
池には、淫獣以外誰も居らず、幾つか、添え木のようなものに支えられた釣竿が池に糸を垂らしている。
何かが掛かる気配は無い。前方の木々と遠く後方の森の中で、蝉が鳴いている。
水面で光が跳ね、勢い余ったそれが淫獣のバケツに飛び込んで、すいすい泳いでいる。
#1
黴が生えている。天井の左上の隅のところだ。ここのところ、視力がぐんと低下していて、この前見たときよりも、更にボヤけて見える。
幸夫はフローリングの床に寝転がって、まだ少し疲れている自分の眼球を意識して、目蓋の上から軽く押した。
何かみたいだな、と思う。あの黴は何かに似ている。でも、そのモヤッとした思い付きはひとつの言葉に結ばれず、そのまま、放ったらかしになったイメージとして、転がっている。
上体を起こした幸夫がまた目を閉じて、背中で、たすき掛けに繋いだ両手を繋ぐと、そこにはやっぱりそのイメージが転がっていた。
宇宙みたいだ、と適当に言葉を持たせて、また、寝転んだ。
2014年2月19日水曜日
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